キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

バッ


「何バカなことしようとしてんの。俺たちが出て行ったって勝ち目ないでしょ?」

「勝つとか負けるとかじゃなくて……ただ私は、助けたいんです!」


両手を強く握り、悲しみに耐える。

だって、だってだって。

さっき中にいたのは、あの赤いピアスは……


間違いなく、凌生くんだった。


「だって、凌生くんが……っ」



――飼い犬が手を噛むのか、この俺に

――あの約束、忘れたわけではないだろ?



「お兄さまに殴られてた。ひどい言葉も言われて……。

どうして凌生くんが、そんなことされなきゃいけないの!」


凌生くんが買ってくれた制服に、いくつもの涙を落とす。

何もできず、こうして逃げようとしてる自分が嫌になる。

私は無力なんだと、嫌と言うほど思い知らされる。


「どうして、って……そんなことも分からないわけ?」
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