キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
バタン、ジャー
「ふわぁ、良い気持ち……」
大きなお風呂で思い切り手足を伸ばす。
そして、さっき凌生くんとキスした唇をゆっくり触った。
「あれが、キス……」
想像していたものと全然違って、思い出しては顔が赤くなる。
もっと、こう……ちょんって当たるだけかと思ってたから……っ。
「でも……なんで凌生くん、私にキスしたのかな」
私は、ただの人質で道具なのに……。
あ、暇つぶしとか? おもちゃ感覚なのかも。
「……好きな人から気持ちのないキスをされるって、寂しいものだなぁ」
ぴちゃんと、上から雫が落ちる。
見上げた天井には私の涙のように、たくさんの雫がぶらさがっていた――
その時、一人残された凌生くんはというと。
「……はぁ。監視役なんて、するもんじゃないな」
少し項垂れた後、苦笑いを浮かべる。
そして自分の服と私の服を、クローゼットからそれぞれ用意するのだった。
ㅤ𓈊⚜