Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
* * * *

 話を終えた春香と瑠維は警察署を後にし、昼食をとるために近くのカフェに入った。

 互いにパスタセットとアイスコーヒーを頼むと、春香は椅子の背もたれにへたへたと倒れ込む。

「あー、疲れたー」
「お疲れ様でした」
「瑠維くんもついてきてくれてありがとう。一緒にいてくれたから心強かったよ」
「春香さんの力になれたのなら良かったです」

 その時にふと先ほどの刑事との会話が思い出される。まるで瑠維のことを知っているかのような話し方だった。

「あの……聞いてもいい?」

 瑠維は春香を一瞥してから、水の入ったグラスに手を伸ばす。水を一口飲み、ほっと息を吐いた。

「刑事さんのことですか?」
「あっ、うん、そう。答えたくなければいいの! ちょっと気になっただけだから……」

 聞かれることがわかっていたかのような態度に、春香の方がびっくりしてしまう。ただため息をついた姿から、あまり良い反応ではない気がしたので、春香の方が戸惑ってしまう。

 そうよ、警察と関わりがあるなんて、いいことじゃないかもしれない。でも高校時代の彼を思い出せば、そんなネガティブなことに縁があるタイプには思えなかった。

 逆に何か表彰されたのかもしれない。それなら納得がいく。

「そんな百面相しないでください」
「えっ⁈ そんな顔してた……?」
「えぇ、してました。大したことではないですよ。昔の知り合いなんです。学生時代にちょっとお世話になることがあって。今回ももしかしたら川崎さんが担当かも知れないと思っていたので、久しぶりに会えて嬉しかったです」
「へぇ……そうだったんだぁ。刑事さんと知り合いみたいだったから、何か事件に巻き込まれたりしたのかと思ってびっくりしちゃった」

 瑠維がどことなく寂しそうに笑った気がしてドキッとした。何か言ってはいけないことを口にしてしまったような印象を受けた。

「あぁ、そうだ、春香さん。伝えておかなければいけないことがあって」
「ん? なぁに?」
「今日は知り合いのパーティーに参加するよう強要されていまして、帰るのがたぶん遅くなってしまうと思うんです」
「あっ、そうなんだ……」

 ということは、あの家に一人でいないといけないのか。そう考えると少し心細くなる。

「あっ、でもなるべく早く帰りますし、それから……ちゃんと同じベッドで寝ますので」

 それを聞いた春香は思わずクスッと笑ってしまった。彼がそのことを気にしてくれているとは思わず、嬉しくなった。
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