Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
* * * *

 水着とタオルを袋に入れて持ち、服も脱ぎ着しやすいようにTシャツワンピースにした。

 突然だったし、今日は泳ぐためのメイクではない。このままだと出る頃にはすっぴんになっているだろう。でも瑠維を待たせるわけにもいかず、そのままで行くことにした。

 瑠維は先ほどの服装のまま、手にはタオルと水着らしきものが握られている。出かける時にコンタクトだったからか、今もメガネは着けていなかった。

 部屋を出た二人がエレベーターに乗ると、瑠維は慣れた手つきで最上階のボタンを押す。

「よく行くの?」
「プールですか? そうですね、時間がある時は。普段はジムで済ませることの方が多いですが」
「ふーん……」

 エレベーターが最上階に到着し、瑠維の後ろについて歩いていくと、プールの入り口に到着する。

「女性の更衣室はそちらですので」
「うん、じゃあ後でね」

 履いてきた靴をロッカーに入れて更衣室の中に入る。中では泳ぎ終えたらしき女性が着替えをしていたが、その人以外は誰もいなかった。

 一番端のロッカーを開け、持っていた荷物を入れて着替えを始める。黒のギンガムチェックのワンピースタイプ。ちょっと可愛すぎるだろうか。年甲斐もなくと思われるか不安になった。

 椿が水着になるのを嫌がるため、昨年仕事の同期たちと一緒行ったナイトプールで着たのが最後だった。

 そのナイトプールはSNSをやっていない春香にとってはただの付き合いで、映えを狙って写真ばかり撮る姿に少し疲れたりした。

 何も考えずに泳ぐか、水に浮いているのが気持ちいいのになぁーーとは言えずに、笑顔で写真に写っていた。

 だから瑠維のマンションにプールがあると聞いた時は羨ましいと思ったのだ。でも春香の給料ではこんなマンションに住むことは到底無理で、近所のスポーツセンターくらいがちょうど良かった。

 どんなプールだろうーーウキウキしながら更衣室を出た春香は、思わず感嘆の声を漏らす。

 一面ガラス張りの窓に面した二十五メートルプールは、光が映り込み幻想的に揺れていた。窓からは夜空が見え、夜景が美しく輝いている。

「春香さん」

 思わず見惚れていると、壁に寄りかかって春香を待っていたらしい瑠維に声をかけられた。

「あぁ、お待たせしてごめんね。というか、すごく素敵な景色」
「女性は夜景が好きですよね」
「綺麗なものには目がないのよ」

 笑いながら瑠維の方を向いた春香はドキッとした。水着姿の瑠維は思っていた以上に筋肉質で、しかも競泳用のピッタリとした水着を着用している。

 こんなに筋肉質で良い体つきだっただなんて! 目のやり場に困り、思わず両手で顔を覆ってしまった。
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