Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
「池田先輩にはバレてしまったんです。たぶん……先輩に話をしに行っているのに、ずっと春香さんのことばかり見ていたからかもしれません。ある日突然『佐倉のことを大好きなんだな』って言われて、何も言い返せませんでした」
バツが悪そうに下を向いた瑠維を見て、高校時代のことをふと思い返した。
「時々瑠維くんと目が合ったような気がしていたんだけど、もしかしてその時?」
「……あれはほんの一瞬の出来事です」
瑠維はテーブルの上に置かれていた春香の手をそっと握ると、俯いたまま話し出す。
「僕が春香さんを見ていた時間の百分の一くらいの、本当に一瞬でした。だけどそれだけで僕の心臓は驚くほど早く鳴り続けて、幸せな気持ちになれたんです」
「……全然気付かなかった。ごめんね……」
春香が申し訳なさそうに呟くと、瑠維は顔を上げ、春香の頬にそっと手で触れる。
「池田先輩に向ける笑顔や、美味しいものを食べている時の幸せそうな顔、授業終わりの眠そうな顔、読書をしている時の真剣な表情ーーあの頃は遠くから見つめるしか出来ませんでしたが、今はこうして手の届く場所に春香さんがいて、正面から見つめることが出来る。僕は《《今が》》幸せだから、《《過去》》のことはもうどうでもいいんです」
彼の言う『過去』は、高校時代を指しているのか、それとも大学時代を指しているのかはわからず、春香は胸が苦しくなるのを感じた。
彼の手に自分の手を重ね、頬に押し当てる。この手を離したくないと心から思った。
「春香さんと再会した時はあまりにも突然すぎて、どうしたらいいのかわからなくなって焦りました」
「確かに、嫌々引き受けてくれたのかなって思ってた」
「そんなわけないじゃないですか。その……あなたとどれくらいの距離感を保てばいいのかわからなかったんです。でもあなたの状況を聞いて、これは僕にしか出来ないことだって思って、決心がつきました」
再会した時の態度が多少気になっていた春香は、ようやく謎が解けてホッと一安心した。あの時よりも明らかに二人の距離は縮まっている。
「はい、カレーうどんと月見うどん。置いてもいいかしら?」
二人が顔を上げると、店員の女性が苦笑いを浮かべていた。注文したものが運ばれてきたのに、二人の距離が近すぎるばかりにテーブルに置くことが出来ずに困っていたのだ。
「す、すみません!」
二人は慌ててお互いの手を離すと、恥ずかしそうに笑い合った。
バツが悪そうに下を向いた瑠維を見て、高校時代のことをふと思い返した。
「時々瑠維くんと目が合ったような気がしていたんだけど、もしかしてその時?」
「……あれはほんの一瞬の出来事です」
瑠維はテーブルの上に置かれていた春香の手をそっと握ると、俯いたまま話し出す。
「僕が春香さんを見ていた時間の百分の一くらいの、本当に一瞬でした。だけどそれだけで僕の心臓は驚くほど早く鳴り続けて、幸せな気持ちになれたんです」
「……全然気付かなかった。ごめんね……」
春香が申し訳なさそうに呟くと、瑠維は顔を上げ、春香の頬にそっと手で触れる。
「池田先輩に向ける笑顔や、美味しいものを食べている時の幸せそうな顔、授業終わりの眠そうな顔、読書をしている時の真剣な表情ーーあの頃は遠くから見つめるしか出来ませんでしたが、今はこうして手の届く場所に春香さんがいて、正面から見つめることが出来る。僕は《《今が》》幸せだから、《《過去》》のことはもうどうでもいいんです」
彼の言う『過去』は、高校時代を指しているのか、それとも大学時代を指しているのかはわからず、春香は胸が苦しくなるのを感じた。
彼の手に自分の手を重ね、頬に押し当てる。この手を離したくないと心から思った。
「春香さんと再会した時はあまりにも突然すぎて、どうしたらいいのかわからなくなって焦りました」
「確かに、嫌々引き受けてくれたのかなって思ってた」
「そんなわけないじゃないですか。その……あなたとどれくらいの距離感を保てばいいのかわからなかったんです。でもあなたの状況を聞いて、これは僕にしか出来ないことだって思って、決心がつきました」
再会した時の態度が多少気になっていた春香は、ようやく謎が解けてホッと一安心した。あの時よりも明らかに二人の距離は縮まっている。
「はい、カレーうどんと月見うどん。置いてもいいかしら?」
二人が顔を上げると、店員の女性が苦笑いを浮かべていた。注文したものが運ばれてきたのに、二人の距離が近すぎるばかりにテーブルに置くことが出来ずに困っていたのだ。
「す、すみません!」
二人は慌ててお互いの手を離すと、恥ずかしそうに笑い合った。