機動装甲ⅡR

真紅郎

司令室の前で立ち止まり、ドアをノックする。

「入りたまえ」

中からの声で、俺はドアを開けて入室する。

「失礼します。帝真紅郎、出頭しました」

「そう硬くならんでもいい」

そう言って笑うのは、この評価試験基地の司令。

そしてその隣には、初老の男性が立っていた。

艦長職の軍人が着用する軍服を着ている事からも、この人物が何者なのかが窺える。

「帝、こちらは国連軍極東方面支部の宗方泰山(むなかたたいざん)中佐。コスモノア級汎用機動母艦グリフォンの艦長を務めておられる」

司令の紹介で、艦長はニッと笑みを浮かべた。

「君の事は話に聞いていますよ。AMメーカー最大手の帝重工の御曹司…先日はこの評価試験基地に襲撃してきたテロリスト機を撃墜したとか…どうやら有能なパイロットのようだね」

艦長職という責任ある立場にありながら、その物腰はあくまで柔和。

失礼ながら、好々爺という言葉がぴったりだった。



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