Snow magic
椛Side
「はぁ…っ、はぁ…。遅れてごめんなさいっ…叶葉さん!」
あのあと。
慌てて坂を駆け上り、今までで1番なくらい全速力で走った。
……はぁ。本当にめっちゃ疲れた。
「そんな慌てなくても大丈夫よ。私も少し1人で練りたかったところがあったから丁度良かったわ。」
優しく笑ったこの美人な女性は夜宮叶葉(よるみやかのは)さん、年齢は私の5つ上の30歳。
葉宮夜叶として活動する、ポップな世界観が特徴な小説を創り上げる中高生に人気な超話題小説家さんだ。
私は、そんな彼女の小説の編集を担当している。
「……で、何があったのかしら〜?」
席に着いて息をほ〜っとつくなりニヤリと笑ってきた叶葉さん。
「………。」
遅れてきてしまったのは、私だ。
しょうがないから話すことにした。
「……3年前に勝手にいなくなった幼馴染に再会したんですよ。そこの星瀬浜で。」
「……へぇ?そんな物語の世界のような奇跡も起こるのねぇ…。」
…結構毒舌な、叶葉さん。
彼女は優しく頼もしいけれど、こうやって毒舌でいたずらっ子みたいな一面もある可愛い人だ。
「もっと聞かせてよ、幼馴染くんの話。小説の参考にしたいわ。」
と言って、小説を書いていたであろうパソコンをパタリと閉じた。
体制までしっかり整えて完全に聞く気満々だ…。
私、まだ了承してないのに………