Snow magic
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「……じゃ、椛いく?」
「あ…、うん。」
「フッ。別に、今すぐなんか話すわけじゃないから。こんなとこ1人じゃ来なくて久しぶりだし、とりあえず園内一周しよ。話はそれから、ね。」
今すぐかしこまった話をすると思って、緊張したのがバレたのかふっと笑われてしまった。
やっぱりどこまでもお見通しなんだな……。
「うん、わかった。……私もここ来るのすっごい久しぶりだから楽しみだな。」
「だよね、ここ中心部から結構離れてるし。」
「でもだからすっごい静かで、時間の流れが遅く感じて落ち着くんだよね。」
都会の華やかだけど騒がしいところで生活しているとたまには沈黙と美味しい空気も欲しくなる。
もともと、自然豊かな島に住んでいた私にとってはこういうところに住む方が身体的に合っているのかもしれない。
なんて考えていれば、いきなり柚燈が吹き出すように笑ったので肩が跳ねるように驚いた。
「え、どうしたの……?」
「はは、いや今の言葉めっちゃ椛っぽいなと思って懐かしくてさ。」
「えぇ…、私っぽい?……ってどういうこと……?」
全く分からず、首をひねって柚燈に尋ねれば、柚燈はまた楽しそうに笑った。そんな柚燈からはこの間のような辛そうな表情は少しも見られずほっとした。
「んー強いて言えば、文学的って感じ。椛の言葉って透き通ってるから聞いてて、落ち着くんだよね。……ずっと前から、そう思ってた。」
……そんなこと思ってたなんて知らなかったし、まず自分で自分の言葉遣いなんて気にしたこともなかった。
「でも、それは嬉しい、な。」
「……。…うん。」
「………。」
2人でいるときは沈黙なんて普通だったし、何も感じることなんてなかったのに、今はすごく照れくさいというか、くすぐったく感じる。
そのくすぐったさを柚燈も感じていたのか、お互いきょろきょろとあちこちに視線を向けているうちに目が合って、2人で笑いをこぼしてしまった。
……まるで、私たちの仲も戻ったようだった。