甘美な果実
俺の返事を待つ紘に、心当たりなんてない、と断言しようとして口を開きかけた時、ふと思いついた。というより、見落としていたことにようやく気づいた。俺がフォークになった原因かもしれないケーキの人を見つける方法を。
吐きかけた言葉を呑み、唇を合わせる。沈黙を継続させ、思考を巡らす。紘が飴を転がす音が、小さく聞こえる。
紘の仮説が正しいのであれば、俺の顔ファンだという女子の中から、ではなく、ケーキの人の中からその対象を探せば幾分か楽なのではないか。俺はフォークだ。皮肉にも、誰がケーキなのかそれなりに判別がつくようになっている。ケーキの割合は決して多くはないため、そうした方が、原因かもしれない人物の母数をグッと減らせるはずだ。その厳選した中から、俺のことを好いていそうな人を探せばいいのではないか。
思いついたそれは、側から見れば自意識過剰な方法だが、きっと手間はかからない。無駄な時間を割くこともない。虱潰しに探るよりも効率的だ。明らかにケーキではない人を観察しても、ケーキではないのだから、調べたところで意味がない。俺の味覚を奪って消した人ではないとすぐに結論が出る。ケーキではないのだから。
味覚が死んでからのことを思い出してみる。まだ一ヶ月くらいしか経っていないが、俺の嗅覚が反応した人は例の男子くらいしか思い当たらない。他クラスや他学年にもケーキの人はいるかもしれないが、今のところ見つかってはいなかった。少なくとも俺には。
フォークとしての日が浅く、もう受け入れるしかないと頭では分かっていても未だ心は動揺しているのか、誰がケーキであるのかを知るのを俺は無意識のうちに避けている恐れがあった。だから、同じクラスのケーキしか見つけられないのだろうか。それとも、単にケーキはその彼しかいないだけなのだろうか。
「ケーキの人に心当たりはあるけど、その人が原因とは言い切れない」
吐きかけた言葉を呑み、唇を合わせる。沈黙を継続させ、思考を巡らす。紘が飴を転がす音が、小さく聞こえる。
紘の仮説が正しいのであれば、俺の顔ファンだという女子の中から、ではなく、ケーキの人の中からその対象を探せば幾分か楽なのではないか。俺はフォークだ。皮肉にも、誰がケーキなのかそれなりに判別がつくようになっている。ケーキの割合は決して多くはないため、そうした方が、原因かもしれない人物の母数をグッと減らせるはずだ。その厳選した中から、俺のことを好いていそうな人を探せばいいのではないか。
思いついたそれは、側から見れば自意識過剰な方法だが、きっと手間はかからない。無駄な時間を割くこともない。虱潰しに探るよりも効率的だ。明らかにケーキではない人を観察しても、ケーキではないのだから、調べたところで意味がない。俺の味覚を奪って消した人ではないとすぐに結論が出る。ケーキではないのだから。
味覚が死んでからのことを思い出してみる。まだ一ヶ月くらいしか経っていないが、俺の嗅覚が反応した人は例の男子くらいしか思い当たらない。他クラスや他学年にもケーキの人はいるかもしれないが、今のところ見つかってはいなかった。少なくとも俺には。
フォークとしての日が浅く、もう受け入れるしかないと頭では分かっていても未だ心は動揺しているのか、誰がケーキであるのかを知るのを俺は無意識のうちに避けている恐れがあった。だから、同じクラスのケーキしか見つけられないのだろうか。それとも、単にケーキはその彼しかいないだけなのだろうか。
「ケーキの人に心当たりはあるけど、その人が原因とは言い切れない」