極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
 煌びやかなシャンデリアの下、スーツ姿の殿方と気品のあるワンピースを身に纏った奥方が、席で食事を楽しんでいる。
 自分の服に目を落とす。
 普段ヘビーローテーションしているドルマンスリーブの半袖シャツにロングスカート。
 私はこんな格好でここにいていいんだろうか。
 場違いにもほどがある。
 強制退場させられるんじゃないかと、周囲にスタッフが来ていないかキョロキョロと確認する。
 先生はそんな私の心の内を察したらしく、声を潜める。

「心配しなくても、ここはドレスコードがあるような場所じゃない」
「でも、みんなすごくお洒落な格好をしてますよ」
「座ってしまえば見えないだろう。行こう」

 歩き出した先生におろおろしながらついていき、席へ着く。
 メニュー表にはコース料理しか載っておらず、値段も書いていない。
 一体いくらするんだろう。
 高級店ではこれが普通なんだろうか。
 普段こんなところに来る機会がないからわからない。
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