極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
 ここで拓斗は以前のワクチン注射を思い出したのか、それとも嫌な予感がしたのか、泣き出してしまう。

「大丈夫。すぐ終わるよ」

 針が入った瞬間、やはり痛かったようでさっきよりも大泣きしたけれど、無事に接種は済んだ。

「拓斗、頑張ったねえ。終わったよ」

ぎゅっと抱っこして宥めると、拓斗は少し落ち着いたようだった。

「今日は注意して様子見ててね」
「はい。ありがとうございました」
「あと……」

康太くんは言葉を濁す。

「話があるんだ。夕方、少し時間をくれないか」

深刻そうな表情に疑問を持ったけれど、「わかりました」と答えた。
頭を下げて診察室を出る。
拓斗はさっきのことをもう忘れたみたいにケロッとしていた。


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