利害一致の契約婚だったはずなのに、激しい愛が注がれるようになりました。
 そんな切羽詰まっている中での仕事終わり、明日は久々の有給を使い、更には土日を迎える三連休という事もあって、何か新しいゲームでも始めようかと寄り道をする事に。

 やって来たのは隣町にあるアニメやゲーム関連の本やゲームソフト、CDやDVD、アニメのキャラクターグッズなどが売っている店舗で、まずは漫画の新刊チェックでもしようかと漫画売り場へ行き、好みの絵柄のBL本を数冊手にした後、そのままゲーム売り場で新たなゲームの物色していると前から気になっているソフトを見つけた私はすかさず手にする。

 それは有名なゲーム会社の乙女ゲームで、自身がマネージャーとなり、イケメンバンドマンたちと恋愛出来るという内容のゲームだ。

 思わずニヤつきながらふと横に視線を移すと、見覚えのある姿を捉えた。

「……え?」

 その人物は笹葉くんによく似ていて、思わず二度見する。

(……やっぱり、笹葉くん……だよね?)

 気付かれないようこっそり確認するも、やはり視線の彼の手に居るのは笹葉くんで、そんな彼の手にはあるゲームソフトが二つ握られていた。

 その二つのゲームと、それを真剣な表情で吟味する笹葉くんを交互に見ていると、

「!」

 私の視線に気付いたのか彼はこちらを向き、少し距離はあるけれど私たちは見つめ合う形になってしまったのだ。

「えっと……ぐ、偶然、だね……」
「……あ、ああ」

 会話をしてみるも、この状況で弾む訳もない。

 何故かというと、そもそもこの店舗はどちらかと言えばアニメやゲーム好きが来るようなお店だし、笹葉くんが手にしているゲームソフトは何と言えばいいのか、年齢制限があって可愛い女の子や色っぽい女の人が出てくるようなもの……と言えばいいだろうか。恐らくあまり知られたくないに違いない物だと思うので、とんでもなく気まずい状況なのだ。

 ゲームソフトには気付いていないフリをした方がいいと分かってはいても衝撃的過ぎてついつい目がいってしまうし、笹葉くんも私が気付いている事を分かっているからどうする事も出来ずにいる。

 暫くこの状況が続き、流石に何とかしないと思っていると笹葉くんの方が先に口を開いた。
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