利害一致の契約婚だったはずなのに、激しい愛が注がれるようになりました。
episode.3
「実玖先輩! どうして黙ってたんですか!?」
楓との結婚を承諾し、そのまま休みを迎えていた私が明けた月曜日に出社するや否や、温子ちゃんを筆頭に営業課の女子社員たちが更衣室で待ち構えていた。
「……え? な、何? 急に……」
一瞬何の事だか分からず戸惑っていたのだけど、すぐに楓との事だと思い直しハッとする。
「あ、あの……その……」
確かに楓に任せる、とは言ったものの、まさか私が休みの間に周りに話しているとは思わず油断した。
(話したなら話したって言ってよ……)
それに、伝えたなら伝えておいたと一言くらい言って欲しかったと恨めしい思いを心に浮かべつつ、今この状況をどう突破しようか考えていると、
「もう! 先輩ってば本当に徹底し過ぎですよ? 全然気づかなかったじゃないですかぁ!」
詰め寄って来るみんなに殺気立った様子は無く、寧ろみんな穏やかな表情を浮かべている。
「……え?」
これには拍子抜けというか、何と言うか……。
「先輩と笹葉先輩って昔からの知り合いだったんですね! 本当にびっくり! しかも、あの笹葉先輩を虜にするなんて!」
「そうよ、水臭いわよ。言ってくれればねぇ」
「本当本当。彼の方が汐海さんにぞっこんなら仕方ないわよねぇ」
しかも、みんなの話から推測するに、楓の方が私を好き……みたいな話になっている。
(一体……何がどうなってるの?)
全くもって理解出来ない私はみんなの話に適当に相槌を打ちながら着替えをし、適当な理由をつけてみんなよりも先に営業課のフロアへ向かう。
「笹葉くん」
「汐海、おはよう」
「お、おはよう……って、呑気に挨拶してる場合じゃないのよ。ちょっと、いいかしら?」
楓の元へ向かった私は通常運転の彼のペースに飲まれかけつつも、さっき更衣室で聞かされた話の全容を確認すべく人のいない応接室へ楓を連れて行き、
「一体、みんなにどんな説明をしたの?」
そして、応接室に着くと間髪入れずに本題に入った。
楓との結婚を承諾し、そのまま休みを迎えていた私が明けた月曜日に出社するや否や、温子ちゃんを筆頭に営業課の女子社員たちが更衣室で待ち構えていた。
「……え? な、何? 急に……」
一瞬何の事だか分からず戸惑っていたのだけど、すぐに楓との事だと思い直しハッとする。
「あ、あの……その……」
確かに楓に任せる、とは言ったものの、まさか私が休みの間に周りに話しているとは思わず油断した。
(話したなら話したって言ってよ……)
それに、伝えたなら伝えておいたと一言くらい言って欲しかったと恨めしい思いを心に浮かべつつ、今この状況をどう突破しようか考えていると、
「もう! 先輩ってば本当に徹底し過ぎですよ? 全然気づかなかったじゃないですかぁ!」
詰め寄って来るみんなに殺気立った様子は無く、寧ろみんな穏やかな表情を浮かべている。
「……え?」
これには拍子抜けというか、何と言うか……。
「先輩と笹葉先輩って昔からの知り合いだったんですね! 本当にびっくり! しかも、あの笹葉先輩を虜にするなんて!」
「そうよ、水臭いわよ。言ってくれればねぇ」
「本当本当。彼の方が汐海さんにぞっこんなら仕方ないわよねぇ」
しかも、みんなの話から推測するに、楓の方が私を好き……みたいな話になっている。
(一体……何がどうなってるの?)
全くもって理解出来ない私はみんなの話に適当に相槌を打ちながら着替えをし、適当な理由をつけてみんなよりも先に営業課のフロアへ向かう。
「笹葉くん」
「汐海、おはよう」
「お、おはよう……って、呑気に挨拶してる場合じゃないのよ。ちょっと、いいかしら?」
楓の元へ向かった私は通常運転の彼のペースに飲まれかけつつも、さっき更衣室で聞かされた話の全容を確認すべく人のいない応接室へ楓を連れて行き、
「一体、みんなにどんな説明をしたの?」
そして、応接室に着くと間髪入れずに本題に入った。