【第一部完結】悪の皇女はもう誰も殺さない

二章 悪の皇女は変化する

その日の晩、ホワイト宮殿には頭をぶつけて人が変わったキャンディスの噂があっという間に広がった。
『頭をぶつけたせいで皇女様がおかしくなった』
『いい皇女のふりをして周囲を欺こうとしている』
周囲が警戒している中、キャンディスは自分を変えようと奮闘していた。
まず怒鳴らないようにするだけでも、かなり神経をすり減らしていた。
いい皇女として振る舞いたいが、まだ手探り状態だ。

(とりあえずはエヴァとローズとアルチュールに優しくできたわ!これで死刑への道が遠のいたはずよ……!)

それから一カ月が経つと、キャンディスの努力が伝わり出したようだ。
その変貌ぶりを目の当たりにした者たちは驚きながらも次第にキャンディスへの態度が柔らかくなりはじめた。

エヴァとローズはまだ新人だからか少しドジで失敗をすることもあるが、一生懸命キャンディスの世話をしてくれている。
今すぐにコイツらを辞めさせたいと何度思ったことだろう。
キャンディスは唇に血が滲みそうになりつつも、苛立ちを押さえてなんとか耐えていた。
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