【第一部完結】悪の皇女はもう誰も殺さない
今まで同じ侍女がそれほど長くキャンディスのそばにいたことはない。
それには侍女長も眼鏡をカチャカチャと鳴らしながら驚いていた。
失敗すれば即クビだったのに、失敗してもクビになるどころか許されている。

失敗といえばアルチュールの食事時のマナーも同様だ。
キャンディスは約束通り、アルチュールにマナーを教えていた。
キャンディスはアルチュールを邪険にしていたことも忘れて、彼に教えてることで自尊心と自信を取り戻しつつある。

(わたくしが今までやってきたことは無駄じゃなかったのね……!)

三食ともにしながらテーブルマナーを教えていたので一カ月も経つと、アルチュールは完璧とまではいかないがマナーをキチンと会得していた。
アルチュールはキャンディスと食事をしっかり摂るようになったからか肉付きもよくなり顔色もずっとよく健康そうだ。
アルチュールと毎日一緒にいすぎて、嫌悪感はあっという間に消えてしまった。

(今度はわたくしがアルチュールにお茶会でのマナーを教えてあげるのよ!)

だんだんと教えることもなくなり、今日は天気もいいので中庭でアルチュールとお茶をしようと約束をしていた。
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