私はお守りじゃありません！ ～現代の大奥で婚約バトル！？ 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます～

　帰ると、コスモが家で待っていた。
　玉江はコーヒーを出してくれたあと、用事があると本邸に向かった。
「自転車で転んだって、大丈夫か？」
「ぜんぜん平気です！」
　へらへらと笑って答える。
　コスモは暗い顔でうつむき、コーヒーにも手を付けない。

「乗馬、お好きなんですか？　かっこいいですね」
　コスモの顔が険しくなった。
　もしかして地雷だった？
　一鈴は顔をひきつらせた。

「出かけてたのは穂希さんに忘れ物を届けたんですよ。ドジですよね。職場って男性ばっかりで、紅一点がすごい美人で！」
　コスモが顔を上げた。
「一鈴さん、どうしたらあなたみたいになれるんだ？」
「え？」
　一鈴は驚いてコスモの顔を見つめた。

　ぐううう、と一鈴のお腹が鳴った。
　空気読めよ！
　一鈴は自分のお腹につっこむ。
　コスモはぷっと噴き出した。
「初めて会ったときもお腹が鳴っていた」
「ごはん、大事です」
　ぐうう、とコスモのお腹も鳴った。
「人のこと言えないや」
　コスモはお腹をおさえて笑った。
「一緒にご飯つくりましょう！」
　コスモは目じりを下げ、うなずいた。