私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「やっぱりつけてください」
言って、後ろを向く。
「わかった」
穂希の両腕がふわっと自分の前に来て、どきっとした。
一瞬、抱きしめられるのかと錯覚した。
「髪、持ち上げて?」
自分の髪をかき上げる。腕が触れ合い、またどきっとした。
穂希の手はすぐに後ろに下がった。ペンダントの金具を留め、離れる。
「ずるい」
髪を撫でて直し、つぶやく。
結局、自分ばかりどきどきするはめになった。
「今日はすんなりできましたね」
「実は練習してきた」
「かっこわる!」
「君には部屋を見られてる。隠したり見栄をはる必要もない。一緒にいて楽だ」
穂希は苦笑した。
つまり、女として見られてないってことだ。
残念な気持ちが沸いて来て、一鈴は気力なく笑った。
もともと恋の相手ではないから、気にする必要もないのに。
と、団子の屋台が目に入った。
「お団子食べませんか。あなたのおごりで」
「花より団子ってタイプ?」
「花も団子もほしいですね」
「欲張りだな」
「ご存じでしょうが、人間って欲の塊なんですよ」
二人は舞台を降りて屋台に向かった。
白い灰の中で炭が赤く燃えていた。ワラが円状に縁取り、団子の串が火に向かって斜めに刺ささり、きつね色に焼けていた。
穂希は二本買った。
店主は焼けた団子にみたらしのたれをつけて渡してくれる。
焼きたてを頬張ると、甘辛いたれが口いっぱいに広がった。表面は香ばしくぱりぱりで、中はしっとりととろけるように伸びる。お餅自体がほんのりと甘かった。
言って、後ろを向く。
「わかった」
穂希の両腕がふわっと自分の前に来て、どきっとした。
一瞬、抱きしめられるのかと錯覚した。
「髪、持ち上げて?」
自分の髪をかき上げる。腕が触れ合い、またどきっとした。
穂希の手はすぐに後ろに下がった。ペンダントの金具を留め、離れる。
「ずるい」
髪を撫でて直し、つぶやく。
結局、自分ばかりどきどきするはめになった。
「今日はすんなりできましたね」
「実は練習してきた」
「かっこわる!」
「君には部屋を見られてる。隠したり見栄をはる必要もない。一緒にいて楽だ」
穂希は苦笑した。
つまり、女として見られてないってことだ。
残念な気持ちが沸いて来て、一鈴は気力なく笑った。
もともと恋の相手ではないから、気にする必要もないのに。
と、団子の屋台が目に入った。
「お団子食べませんか。あなたのおごりで」
「花より団子ってタイプ?」
「花も団子もほしいですね」
「欲張りだな」
「ご存じでしょうが、人間って欲の塊なんですよ」
二人は舞台を降りて屋台に向かった。
白い灰の中で炭が赤く燃えていた。ワラが円状に縁取り、団子の串が火に向かって斜めに刺ささり、きつね色に焼けていた。
穂希は二本買った。
店主は焼けた団子にみたらしのたれをつけて渡してくれる。
焼きたてを頬張ると、甘辛いたれが口いっぱいに広がった。表面は香ばしくぱりぱりで、中はしっとりととろけるように伸びる。お餅自体がほんのりと甘かった。