私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
 外食して戻った一鈴とコスモは、玄関で警備員に出迎えられた。執事の時任賢也(ときとうけんや)もいた。
 ものものしい雰囲気に、楽しい気分がいっきに冷めた。
 前後左右を警備員に囲まれ、本邸のリビングに誘導される。
 そこには穂希と恭子と佳乃の三人がいた。

 ソファに座る一鈴とコスモを、恭子はぎりっと睨んだ。
「爽歌さんが池に落ちたわ。いいえ、落とされたのよ」
 驚く一鈴とコスモに、穂希が続ける。
「たまたま巡回の警備員が通りかかって助かった。今、別室で医者に診てもらっている」
「良かった」
 胸をなでおろす一鈴を、恭子はまた睨んだ。

「あなたが突き落としたんでしょ!」
「ぼ、防犯カメラがありますよね!?」
「枯葉がはりついていて、落ちた瞬間は映っていない」
 穂希が答える。

「そんなことあるんだ」
「滅多にない。俺が呪われているからか」
「爽歌さんはあなたに突き落とされたと言ってるわ!」
 恭子が叫んで立ち上がる。
「落ち着いて」
 穂希は自身も立ち上がって恭子の肩に手を置き、座らせる。

「ずいぶんと一方的な話だな。証拠は」
 嫌悪もあらわにコスモが言う。
「ない。爽歌の証言から身長と髪型が同じというだけだ。顔は見えなかったらしい」
 穂希が答える。

「一鈴さんには無理だ。私がずっと一緒にいた」
「グルなのね! 穂希に相手にされないからって!」
「くだらない。あんたの息子にそんな価値はない」
 はっきり言うコスモを、恭子はさらに睨みつける。

「警察を呼びましょう!」
 一鈴が言う。
「爽歌がそれを望んでいない。怖がっている」
 穂希は渋面を作った。
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