家出少女の反抗
「ぶっちゃけて言うとーーそうだね。正直前から目をつけてた。可愛い子だなって……ずっと霞ちゃんを見てた」
声にならない悲鳴が、空を切りそうになった。
この人は人の形をした、悪魔だーー。
初めて心の底から、そう叫びたい。
「怯えないで。霞ちゃん。僕は霞ちゃんのこと大切にするしーーお母さんの相手も支援もしてあげるからさーー「出てって」」
気付いたときには、口がそう溢れてた。
お母さんの気持ちを踏みにじった上に、私の関係も続けようっていう薄汚い欲望を目の前にして、自分が壊れてしまいそう。
もうこれ以上は聞きたくない。
冷静沈着でいたいのーーこの時間だけは。
「ちょっと……もうつかれたの。とにかく出てって」
潤は一瞬、顔を歪め鬼の形相へ変貌したがすぐに笑顔に戻った。
きっと体の関係を持ったから、優しくなっているだけだ。
一時的な効果でしかない。
「君の逢瀬のままに、従ってあげよう。エッチも出来たし、凄く気持ちよかったよ」
私の体を撫で回し、耳元に息を吹きかけるように囁くと潤はベッドを離れた。
体中が鳥肌に包まれていたので、両腕を手で優しくあやしてみる。
過呼吸にでもなって、全身呼吸をするかのごとく吐息が荒い。
ーーー怖い………。
その感情が、私の心を抉り壊してゆく。
「そうそう、霞ちゃん」