家出少女の反抗
もうすぐ5分が経つ。
カレールーを持つ手が震え、歯が微かにチカチカとカスタネットみたいに響く。
ーー言わなきゃだめ。此処で私はーー!!
「一体何なのよ。言いたいことがあるならいいなーーー「潤に性的虐待を受けてるかもしれないの……っ!!」」
この瞬間が息もできず、失神するんじゃないかってくらい怖かった。
何故かって?
だって私と潤がエッチしているだなんて想像しただけで、気持いいものではないもん。
小汚いおじさんとありふれた美少女でもない女子高校生のセックスなんて、いつぞやのavだって突っ込みたいくらい。
汚くて、私利私欲にまみれた大人に、子供が餌食にされる絵図。
美しくないし、普通にキモい。
そんな関係を、お母さんに打ち明けなければならない状況。
それが知られてしまった、屈辱的な気持ち。
その混ざり合わさった感情がこの空間を、駆け回ってるみたいでーー足が竦む。
でも、その予想を遥かに超える「恐ろしさ」というのはこの世には存在するらしい。
鋭い針をさすような痛みが左頬に差し掛かった、時にはお母さんに殴られていたんだなと気付いた。