家出少女の反抗
「だ……誰なんだお前っ!!」
苦しげにうめくオヤジは、お兄さんに更に髪を捕まれ「うあっ!!」と情けない姿をさらけ出した。
「そいつは、俺の彼女これ以上ちょっかいかけると、サツ呼ぶよ?」
あまりの急展開に「え?!」と驚くのだが、お兄さんはウインクをして微笑んだ。
「か……彼女!?」
顔面蒼白したオヤジは、手を離し過ぎ去った。
カーディガンや制服が少し開けていたせいか、真から震え上がる冷気が体内に染み込んできた。
「ックシ!!」
お陰でくしゃみまで出て、手が鉛のように重い。
かじかんだ手を、優しくそのお兄さんは握ってくれた。
「大丈夫?お嬢ちゃん」
凄く爽やかな銀の絹のような洗練された髪が眩しく私の目を刺激して、白く透明な肌と透き通るような青い瞳孔が胸を捉える。
童話のお姫様が一目惚れして、「一生あなたについてゆきます!!」と宣言してしまう気持ちもわかってしまうくらいに美しい。
「えっと……はい。ありがとうございます。おかげで助かりました」
「気をつけないよ?こうゆう夜遅くなると変人が多いからね。……君、もしかしてだけど家出少女って感じなの?」
早くこの場から去って、新しい住処を見つけなければと足早々に荷物をまとめた頃だった。