家出少女の反抗

真髄を付かれて、心臓を鷲掴みにされたように、体がビクリと反応した。





「やっぱ、図星?」




ゆっくりと振り返ると、にこやかな顔で覗き込まれていてまるで私の内部にある全歴史を読み取られているみたいで怖い。




ーーーひょっとして、この人あのオヤジと手を組んで最初から家に誘い出すつもりだったんじゃ……。




そんな疑惑が好きな人の情な姿を見て蛙化するみたいに、胸の中で溢れ一、二歩下がる。



この人の近くにいると、私自身の命が危ない気がしてならないから体が反応したんだろう。



でもそんな反応も虚しく、お兄さんにすぐに手を掴まれて「大丈夫、大丈夫。そんなに心配しなくても、仲間がいるからさ。君と同じ様に……逃げ出した子がいるんだよ」と何かを握らされた。



その手に収まりきれない、黒く綺羅びやかに光る薄い長方形をした物体は、スマートフォン。



「電話、かけてみ。もう繋いだから」



画面を見ると、通話中と書かれている深緑の星マークが写っており「もっしー??優?」と声が聞こえた瞬間、驚いて落としそうに。



反射神経で直ぐ様、スマホをキャッチして恐る恐る耳にあてた。
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