家出少女の反抗
あまりに詰め寄ったものだから、未来が驚いてのけぞった。
「な……何もそんなに……。な……「中条優」って人だよ……」
私は何かに目覚めたかのように、教室から走って靴を変え走り出す。
ーー中条優……それって、今私達を匿ってくれてた……あの「優」だよね!?
走って向かう先。
私たちが住まわせてもらってる、マンション。
パニックになりながら廊下を走り抜けながら部屋に向かう。
ドアに手をかける。
鍵は開いておらず、伽藍洞の暗闇が私を包んだ。
開けたくない気持ちと、愛を助けなければいけないという気持ちがごちゃごちゃになって吐き出してしまいそうだ。
だが、そんなことは言っていられない。
一歩前に踏み出す。
足元に何かが当たる。
床を見ると、注射器のようなものが転がっていた。
「愛……?いる?」
暗闇の中足を進めると、うっすらと扉が開いている部屋に。
そこは優に、「入ってはいけない」と言われた部屋だった。
「……っ、霞……なのっ…?」
苦し紛れに、呻いた愛の声。
あの禁断の扉の間からだった。