家出少女の反抗
ドアノブを握る。
滝のような手汗で滑り落ちそうになるが、勇気を振り絞り捻って開けた。
その瞬間だった。
どこからともなく、脳みそが焼け焦げてしまいそうな強いアルコールの匂いがただよった。
その空気は私の顔から全身にかけて、覆い包み重さとなって思わずしゃがみ込む。
暫くむせた後、ガシャリという鉄の音が聞こえた。
目線を向ける。
そこには、いくつも鎖で繋がれていた手錠がベッドの至る所に垂れ下がっていた。
金属製で冷たい、刑務所みたいな寝床。
そこに傷だらけに横たわり、酷く朦朧とした愛が寝そべっていた。
肌着一枚でなんとか体のプライベートゾーンは隠されてはいたが、暴行のあとからして………。
「誰に………!?どうゆうことなの!?何があったの!?」
「……ごめんっ……。今は……口が裂けても……言いたくないっ」
顔を背けてうつむいて、ないている顔を隠そうと藻掻く愛。
だが、「言いたくない」という言葉からして、誰にされたのか検討がついた。
「優……どうして……なんでこんな酷いこと………助けてくれるんじゃなかったの?愛はこんなに……優を思ってたのに……」