家出少女の反抗

逃げ出そうにも、何処に逃げればいいかわからない。




ーーもし怜音先生が倒されて、追いついてきたりしたら……。




悪い事で頭がいっぱいになった矢先、それはかき消された。




「そこの二人。俺の車に乗ってけ!!早く!!」



怜音先生が走ってやって来た。




「優は?」


私が聞き返すと「俺が気絶させた。死んではない。警察に一応通報したから暫くここを離れるぞ」と。





警察に事情を話さなくて良いのか?と言いたくなったのだが、そこをぐっと堪え車に乗り込む。




怜音先生は私達二人を乗せてアクセルを踏み込んだ。




私達二人は夜の街の光を浴びながら、それぞれ自分たちの状況をぼんやり俯瞰していた。




末恐ろしいあの一連の事件は一歩間違えたら、命を落としていたかもしれないという事実には蓋をして。







「相変わらず、霞!!お前何やってんだ!!あんな怪しい男について行ったらだめだろ!!」



随分とお𠮟り状態の怜音先生は、私達にピザマンを買い与えてくれるという心の余裕はあるみたいで。



「仕方ないじゃん!!行く場所他になかったんだし知らなかったんだから!!」


「本性を見せると、タメ口になるタイプか……霞……お前ってやつは手を焼かせる生徒であるのは間違いないみたいだな!!」



隙があったのか思いっきりおでこにデコピンをされてしまい、「いった!?なにするの!?」と怜音先生をたたき返す。


すかさず避けられたけれども。


「えっと……このピザマンお金とかって……返したほうがいいの?」




愛が困った様子で私達二人を覗き込んだ。
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