ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
 彼は収容・隔離していたゾンビに頸部を噛みつかれ、感染してしまった。白い防護服を着ていたがそれを貫通してしまったようだ。
 そして彼には婚約者の女性がいた。しかも1か月後に結婚予定で婚約者は妊娠していた。婚約者は相手がゾンビになってしまったというのに抱き付いて離れなかった。
 そんな彼女を彼は襲う事も無かった。今思えば彼が一番最初のタイプヴァンパイアかもしれない。しかし明確に血を吸う場面を見ていないのでひょっとしたら残った自我でゾンビの本能を押さえつけていたのかもしれないが、今となっては分からない。
 だが、あの身体能力からしてタイプヴァンパイアと見てほぼほぼ間違いないと思う。
 彼を銃殺し、鎮圧しようとしたが彼女はやめてくれと言って泣きわめくばかりだった。私達が離れるように指示しても聞かなかった。

「嫌です! 彼と離れ離れになるくらいなら死んだほうがましです!」

 この叫びは今も耳の奥に残ったままだ。ああ、私も妻とああいう風に愛し合いたかったものだ。
 結局彼らはこの桜風医療研究所のセキュリティを突破し、外へ出てしまった。しかもゾンビ化した彼が彼女を抱えるようにして飛び出してしまった。
 こうして、ゾンビパニックは幕を開けてしまったのだった。
 私もいつゾンビになるかどうか分からない。
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