ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
「果林。そいつは連れていけない。ゾンビを外に出すなんて無理だ」
「わかってる。けど一緒じゃないとだめなの。それに多賀野くんは私の血しか吸わない。ここにしばらくいた事でその事がわかったでしょ?」
「……」

 さすがにデータがあるのか父親もすぐには反論できないようだ。その隙に私の後ろから銃を構えた白い防護服を着た人物がバタバタと現れて父親らに銃を突きつけ、父親及び彼が率いていると思わしき部隊と向かい合う構図になる。

「ここは私達に任せてください。早く」

 そう銃を構える人に小声で耳打ちされる。行くしかない。

「行きましょう」
「……多賀野くん」
「果林」

 私達が1歩足を踏み出した途端、誰かが消化器の栓を抜いて父親の方へと放出し始めた。おそらく煙幕がわりだろう。
 その隙に私と勇人は全速力で前へと駆ける。
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