冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

黎明の空

「久々に思い出した･･･」


何をするでもなく、ただ呆然と天井を眺めながらそう独りごちた。

外ではもう斜陽が射している。学園はもう放課後だろう。

そんなことを考えながらぐいーっと背筋を伸ばして寝返りを打つ。


【黎明】が【堕天】を破ってから今日でちょうど1ヶ月。


平日に私が自室でのんびりしていられるぐらい平穏な日々が続いている。
それこそ過去を振り返る暇だってある。


今だって目を閉じれば自然と思い浮かんでくる。


例えば豹牙さんと再開した日の夜のこと。

何者にも脅かされることのない、私だけの空間。

聞こえてくるのは外からかすかに聞こえる風の音と私の鼓動だけ。

それらに耳を澄ませながらゆったりと目を閉じたことを、よく覚えている。



そして次の日に考えたことが、豹牙さんの役に立つにはどうしたらいいんだろう、だった。