蜜月溺愛心中
「行ってきます」

部屋には誰もいないのだが椿はそう言い、部屋の鍵を閉めて職場であるコンビニへと向かった。自転車で十五分ほどの距離に椿の働くコンビニはある。

「おはようございます!よろしくお願いします!」

「おはよう!よろしくね〜!」

椿が挨拶をしながらコンビニに入ると、店長が笑顔で挨拶を返してくれる。店長はちょうど新商品の品出しをしているところだった。

「店長、それって……」

「ああ。今日から発売されるスイーツだよ」

店長がスイーツコーナーに新商品を並べていく。季節のフルーツが入った豪華なロールケーキ、宇治抹茶が使われたゼリー、お芋が使われたタルト、クリームがたっぷりのミルフィーユなどなど、おいしそうなスイーツばかりである。

(清貴さんはどれが好きかな……)

椿がスイーツをジッと見ていると、店長と目が合う。店長は少し困ったように笑い、言った。

「椿ちゃん。スイーツを見るのもいいけど、そろそろ着替えてくれないかな?」

「あっ!す、すみません!」
< 100 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop