クズなアイツが惚れたなら、(旧・プレイボーイが落ちるまで)
梅野といると楽しくはある。
俺の周りにはあまりいない部類だし、どうせ物珍しさで今は目がいくんだろうけど、べつにただそれだけのことで。
ちょっと話しただけでライバル意識してくるような、こんな男がそばにいる梅野を奪ってやろうなんて気はさらさらない。
目に潜む対抗心も抱えられている熱も感じたことのない俺には考えることすら億劫だ。
「そう、なら良かったよ」
安心したと言いたげな表情がつくられて、今度は俺が目を細める。
絶対、信用してないだろ。
…まあべつにいい。
「あれ、ふたりとも、なに顔見合ってるの?」
進んでる?と教室に戻ってきた梅野のおかげで重ったるい空気が変わる。
おかえり、と梅野にイスを引いてやる布瀬はさっきと同じ優しい笑顔を見せた。
相変わらず出された問題を俺は解いて。
梅野と布瀬は仲良さげにノートを見せ合って。
時々、笑い合うふたりを横目で見ながら、心のなかで、さっき布瀬に言った言葉をもう一度繰り返していた。
べつに、どうもしねーよ。