🆕僕に依存してほしい。【ピュアBL】
 夕飯は1階のレストランでバイキング。大きな広場で大きな窓があって外の雪景色がはっきりと見える。俺らは人混みを通り抜けて窓側の席に案内され、窓側から俺、歩夢、あいつの順番に座った。俺の向かいには俺の両親、その横に歩夢の両親が並んだ。

 母さんが「やっぱりバイキングって性格でるのかなぁ?」って、俺ら子供のおかずを見比べた。視線につられて俺もお皿の中を見比べる。

 俺は全体的におかずの量が多い。揚げ物ばかりのおかずの他に、お刺身のエビやサーモン、そして白ご飯と味噌汁がちょびっと。好きなものを中心に盛った。歩夢はウインナーやオムレツ、からあげと混ぜご飯に味噌汁。ちょっとお皿の上がぐちゃぐちゃ。食べ切れるのかな?ってぐらいの量。あいつの皿は、漬物や豆腐……和食洋食中華。今日あるメニューのほぼ全部のおかずが均等に盛り付けられている。

「これで人間分析出来たりするのかなぁ?」と歩夢の母親が言うと、うちの母さんが「なんか出来そうじゃない?」って言いだして分析を始めた。

 俺の盛り方は好きなものに一途。歩夢は深く考えるのが苦手で流れるまま生きる、らしい。

「悠生くんの盛り方は大人だね」とか「バランス安定してるね」とか。親たちがべた褒めしていた。 

 歩夢が「うんうん、分かる」ってあいつの分析に対してうなずくから、俺は心の中で舌打ちをした。

 本当に当たってるのかこの分析。
 俺は一途とか言われたけど、おかず結構な種類皿に盛ってるし。

「あれ? エビフライあった?」

 歩夢が親たちの話をさえぎり、あいつのお皿を覗く。

「あったよ。歩夢くん食べたかったの?」
「うん。エビフライ好きなの。あったんだ……見つけられなかったなぁ。取りに行ってこようかな?」
「これ、歩夢くんにあげるよ」
「いいの? ありがとう! 優しいね、悠生くん」

 歩夢の顔をちらっと覗くと、目を輝かせていた。

 目の前でいちゃいちゃ。
 あいつのエビフライは1本しかお皿にないけど、俺なんて3本もあるんだからな。歩夢が欲しいって言えば、全部あげるのに――。


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