🆕僕に依存してほしい。【ピュアBL】

***歩夢視点。僕のことなんて――。

 23時。寝る時間になって、畳の上の布団に、入口側から怜くん、僕、悠生くんの順に並んだ。そして怜くんが明かりを消した。

 ぱちっ。暗くなると目の前に浮かんできた。さっき怜くんが言った言葉がはっきりと。

「歩夢は、俺がいなくても生きていけそうだな」

 ――僕は怜くんのいない人生は嫌だし、考えられないよ。

 僕と怜くんは、赤ちゃんの時から一緒にいる。ちょっと大きくなってからは人見知りだった僕に、いつも「遊ぼっ」て声をかけてくれたり、お菓子をいっぱいくれたりもした。大好きだったからいつも怜くんのあとについていって、追いかけていた。

 いないのを想像しただけで涙が出そうになる。だけどぐっと我慢した。我慢したからかな? 鼻がずんって痛くなった。

 もやもやもやもや、目を閉じながら怜くんのことを考える。

 今日だって、ホテルに着いてから悠生くんと一緒にスマホアプリでゲームをしていたけれど、怜くんのことずっと気になっていたんだよ。相変わらず怜くんはスマホばっかり見ていたけれど。

 しかも毎年「風呂行くか?」って聞いてくれるのに、今日は黙ってバスタオル持ってひとりで行っちゃうし。どうして一緒に温泉行ってくれなかったのか、お湯の中でずっと考えてた。一緒に温泉入りたかったよ。

 泣くの我慢していたら「うっ」って変な声を出しちゃった。

 怜くんの方から、がさがさって布団が擦れた音がした。立ち上がって移動した気配がする。

「ちょっと、いい?」って怜くんのいつもより低い声がして悠生くんが「はい」って返事をしていた。

 そんな会話が聞こえたから「えっ?」って思いながら薄く目を開けると、ふたりは窓側の方に行った。そして畳の部屋と木の床の部屋の境目にあったとびらを閉めた。

 なんでだろうと、僕の目が大きく開いた。

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