KISSでチェンジ!
「なんでお前ばっかり」
 思わず愚痴をこぼしてしまったが、それは幸い誰にも聞かれていないようだった。

 幼馴染がモテることに嫉妬して怒っているなんてダサすぎる。
 気持ちを切り替えるように廊下へ出て会いている窓の前に立つと初夏の香りが漂ってくる。

 あと二ヶ月もすれば夏休みだ。
 といってもひとつの性別を維持できる時間は二十四時間と決まっている純は、あまり遠くへ行くこともできない。

 キスできる相手と一緒にいなければならないからだ。
そうコロコロと性別が変わっていては純自身も疲れてしまう。

「なにたそがれてるんだ」
 良明中心的な教室の空気が嫌で気分を変えようと思ったのに、当の良明がついて出てきてしまった。
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