不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。

 優しい菫花は俺が傷つかないよう、庇うように言葉を選んでゆっくりと話してくれる。

 それに俺は力なく答えた。

「そうか……」

 俺がそう呟くと、菫花の手が伸びてきた。白く長い指が俺の頭を優しく撫でる。

「蒼紫さん……泣かないで」 

 菫花はそう言いながら俺の頭をなで続けてくれた。俺はそれが嬉しくて、その手に縋るように頭を動かした。その優しさに更に涙が溢れ出す。俺は泣き虫の子供のように泣き、菫花はそれを受け止めるように抱きしめてくれた。

「菫花、俺……こんなで……頼りなくてごめん。菫花を守るって言っておきながら、またこんな顔をさせてしまった」

 涙が後から後から溢れ出し、俺の頬を伝って流れ落ちていく。

 ああ……ホントに情けない。

 俺は菫花から顔を逸らし顔を伏せた。

 こんな情けない顔を菫花に晒し続けることは出来ない。

 そんな俺の顔を菫花は両手で掴むと、上を向かせた。

「蒼紫さん、そんな顔をしないで下さい。少し驚いてしまっただけなんです。私はもう大丈夫です。大丈夫なんです」

そう言ってこちらを見た菫花の瞳には、強い意思が感じられた。先ほどまでの怯弱(きょうじゃく)で、怯懦(きょうだ)な感じなど微塵も感じられず、真っ直ぐに俺を見ていた。




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