「一族の恥」と呼ばれた令嬢。この度めでたく捨てられたので、辺境で自由に暮らします ~実は私が聖女なんですが、セカンドライフを楽しんでいるのでお構いなく~
     ☆

 結婚が告げられてからというもの、ブランシュは目が回るほどに忙しくなった。
 というのも、彼女の人生に結婚という選択肢があるとは、ブランシュ自身も家族も使用人も誰ひとりとして想定していなかったので、大急ぎで必要なものをそろえなくてはならなかったからである。
 外出することのなかったブランシュは、よそ行きのドレスすら持っていないのだ。
 母は急な結婚だからあちらで準備するだろうと投げやりだったが、体裁を人一倍気にする父はそれを許さなかった。
 口の堅い仕立て屋を大急ぎで呼びつけて、使用人に対して、決して恥ずかしくないだけの準備を整えるようにと口を酸っぱくして命じていた。
 ブランシュはブランシュで、祖母からもらったものはなにひとつとして残していきたくないと、シャルリーヌにもらった本や彼女の形見などを大急ぎで箱や袋に詰めていく作業に忙殺された。
 祖母が逝去した際、姑を嫌っていた母によって、祖母のドレスなど大半のものは処分されてしまったが、ブランシュがこっそりと隠し持っていた形見は多数存在する。
 それはシャルリーヌが生前にブランシュに渡したものが大半だったが、これがまたなかなかの量なのだ。特に本はとんでもない数がある。
 父も、もともとこの家にあった以外のシャルリーヌがブランシュに買い与えた本は、邪魔だから持っていくなり処分するなりしろと言った。
 処分されてはたまったものではないので、ブランシュは荷物をまとめては、ひと足先にリオネルが向かったエスポワールへ向けて荷物を送るという作業を繰り返した。
 リオネルからは荷物があればエスポワールにある領主の館――古い城があるらしい――へ送って構わないと言われていたからだ。
 こうして、ドレスを仕立て、真新しい家具やなんかも用意して、公爵令嬢が嫁ぐにふさわしい準備が急ピッチで進められ、ブランシュは、春を待たずして、エスポワールへと旅立つことになったのだった。
< 22 / 22 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:5

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

わたしを「殺した」のは、鬼でした

総文字数/56,909

恋愛(純愛)150ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
☆作品詳細あらすじ☆  道間ユキは、鬼や魑魅魍魎を狩る一族の道間家に生まれながら、疎まれた存在だった。  黒を尊ぶ道間家において、赤茶色の髪を持って生まれたユキは、父である道間家の当主から「処分」されるのをただ待つだけの身。  そして、15歳になったユキは、とうとう、処分の日を迎える。  雪深い山の中に薄着で放り出されたユキは、歩いているときに見つけた祠の前で、ただただ死を待っていた。  そのとき。 「道間家の女狐が」  ユキの目の前に現れたのは、鬼の棟梁、暁月千早。  千早は、死に逝くユキの首にそっと手をかけて――  死んだはずのユキは、鬼の暮らす隠れ里で目を覚ます。  ユキを「殺した」鬼、千早は、彼女に向かって告げた。  「お前は、もはや道間ではない。――お前は、鬼だ」  鬼に殺され、鬼となったユキと、鬼の頭領である千早。  二人の運命は、静かに交差する―― ※アルファポリス第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました(*^_^*) ☆狭山ひびき、発売予定(予約受付中)作品☆ 【ノベル】 2025/3/7★燃費が悪い聖女ですが、公爵様に拾われて幸せです!(ごはん的に♪)(1)(SQEXノベル) 【コミックス】 2025/2/10★悪徳令嬢に転生したのに、まさかの求婚!?~手のひら返しの求婚はお断りします!~ 1(ASTRO COMICS) 2025/2/20★婚約破棄された貧乏伯爵令嬢ですが、憧れの冷徹王弟に溺愛されています 1 (BKコミックスf) 2025/3/14★王太子に婚約破棄されたので、もうバカのふりはやめようと思います 6(マッグガーデン) 2025/4/25★婚約者に「あなたは将来浮気をしてわたしを捨てるから別れてください」と言ってみた 2(秋田書店)
表紙を見る 表紙を閉じる
2024年9月にベリーズファンタジーで発売される書籍の試し読みです! どうぞよろしくお願いいたします。
表紙を見る 表紙を閉じる
エイミー・カニングは、五歳の時の顔合わせの際に王子ライオネルを驚かせて楽しませようと落とし穴に落としてしまう。それがきっかけでライオネルに嫌われてしまうも、国王夫妻は「元気でいい」と面白がられて彼の婚約者になったエイミー。 それから十一年。十六歳になったエイミーとライオネルは、貴族の子女が通うフリージア学園に入学する。 五歳の時からライオネルが大好きなエイミーは、何とか彼を振り向かせようと毎日彼を追いかけまわしていたが、少々ずれたところのある彼女の行動はライオネルを迷惑がらせるばかり。 けれども、ずっと追いかけていたらいつかわたしの気持ちは伝わるはずだと、エイミーは彼を迷惑がらせていることには一向に気がついていない。 一方、「絶対別れてやる!」とエイミーとの婚約解消を狙うライオネルは、どうすればエイミーが別れる気になるか頭を悩ませていて―― ポジティブすぎて常識のおかしいエイミーと、彼女と婚約を解消したいライオネルの追いかけっこラブコメディです。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop