その手で結んで

舞白は助けを呼ぶ


部活の打ち上げ場所はカラオケだった。女子12人が集まってそれぞれ飲んだり食べたり歌ったりと自由に楽しんでいる。

飲み物がなくなった舞白はドリンクバーへと向かった。
「まーしろ、昨日は大丈夫だったー?」
と、肩に腕を回してきたのは友達の桃花。
「もも〜」
舞白はぎゅーっとももに抱きつく。
「よしよし、一体どうしたの?翔琉くんと何かあったー?」
桃香は唯一、翔琉との同居を知っている。
「今日の打ち上げも一悶着あった」
「過保護だなぁ」
「そんなんじゃないって、ご飯作る人がいないからだって」
「うーん、そうかな?で、どうやって納得してくれたの?」
「え、まぁ交換条件だよ」
「ほ、ほほほほ。そうなんだ。何でもお願い聞く的なやつね」
桃香の顔がニヤニヤする。
「ば、バカ。相手は子供よ?好きなもの買えって言われるやつだって」
桃香は残念そうな表情で舞白を見た。
「え、なんで?」
と、舞白は首を傾げる
「ほんっと、舞白って残念ね。翔琉くんが可哀想だわ」
と、よくわからないことを桃花は言う。でも掘り下げるのも面倒だ。
「何が可哀想なのか知らないけど!今日は遅くまで帰らないんだから!」
と、入れたばかりのジンジャーエールを一気に飲んだ。
「いや、舞白は早く帰った方がいい。翔琉くんにとって自分の家でもない、人様の家で1人でいるのよ。心休まるわけないわ。それに相手は高校生なんだから優しくしなさいよね。舞白が辛くなったら今度は私が遊びに行くからさ」
そう言われると、言い返せなくなる。
舞白はしょんぼりと肩を落とす。
「う、わかった。早く帰るから…。だから絶対遊びにきてね。私も2人きりは気まずいから」
「遊びに行くわ来週ぐらいには」
と、桃香は優しく微笑むとジュースのボタンを押した。

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