その手で結んで
次の日

「じゃあ、行ってくるね。ご飯は温めて食べてね」
心のなかでは嬉しさでいっぱいだけど表には出さないように必死に隠す。
「嬉しそうな顔しやがって…………」
と、翔琉がボソッと言ってるが、気にしない。

「ねぇ、舞白」
翔琉に腕をつかまれると、そのまま引き寄せられた。
こんなヒョロヒョロな体にそんな力があったとは…………さすが現役高校生、と感心していると
「早く帰ってきて、いい子にして待ってるから」
顔をあげれば必ず目が合うぐらいの近さに翔琉がいた。
舞白が固まっているのを見て、翔琉の手がパッと離れる。
「舞白?」
翔琉が舞白の目の前で手を振る。
目を大きく見開いた舞白は
「い、いってきます!」
慌てて玄関から飛び出した。

顔がいいから不覚にもドキッとしてしまった自分が悔しい!!
てか、ご褒美をどんだけ楽しみにしているんだよ。


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