その手で結んで
 舞白はソファーでテレビを見ながらぼーっとしていた。
 その間も翔琉は私から離れようとはしない。
 翔琉の身体があまりにも温かくて寝そう。
 そういえば、翔琉はいつになったら言うんだろうか。『 ご褒美 』は高価な物だからいいにくいとか?
 ちらっと横を見る
 あれ、なんか翔琉…………うとうとしてる?
 「か、翔琉そろそろ寝よう。ほら、部屋に行くよ立って」
 翔琉は瞼を擦って立ち上がるがよろよろして舞白がついていないと心配だった。



 翔琉の部屋の前についた。



 ついたよ、と言っても反応がない
 舞白の袖だけは決して離さない翔琉。
 ほんとこういうところは子どもみたいにかわいい…………じゃなくて
 「部屋、開けるよ?」
 勝手に入るのは忍びないけど今回は仕方ないってことで…………
 翔琉の部屋に入る
 必要最低限のものしか置いてないシンプルな部屋。

 「ついたよ、ほら」

 彼をベットに座らせた。
 りんごのように赤い頬に潤んだ瞳、上目遣いで舞白を見る翔琉におやすみ、と声をかける。
 「ヤダ、まだ寝ない」
 こどもか!
 「またそんなこと言って、まさか風邪でもあるんじゃないの?」
 軽い気持ちで翔琉の額に手を当てた

 「あっつ!!嘘、ほんとに風邪っ」

 身体が熱いとはおもったが…油断していた。
 ……様子がおかしかったのは風邪を引いていたからだったんだ。
 私のバガァ!!


 「本当に気づかなくてごめん!ほら、横になって。私は保冷剤とか薬もってくるから」
 慌てて部屋を出ようとすると突然腕をつかまれた。
 「ちょっーま、わっ!!」
 ぐいっと強い力で翔琉の方へと引き寄せられる。

 部屋にベットの軋む音が響く。
 目を開けると翔琉のベットに寝転がっていた。

 「え?翔琉…………」

 翔琉は舞白の上に乗って両腕を押さえつけていた。
 風邪でふらふらしてるのにどこからそんな力が…………
 なんとか起きあがろうと力を込めながら翔琉、と名前を呼んだ。

苦しそうな怒っているような顔で舞白を見る翔琉を見てその後の言葉を失う。

 「また!また、どこかに行く、離れないっていったのに!」

 えっと、今ここにいるけど…………

 「ねぇ舞白、ずっとずっと一緒にいるって言って、今ここで約束して。お願いだから、俺を一人にしないで」
 翔琉の弱々しい声を聞いて思わず口から
 「一緒にいるよ?」
 と、言っていた。

 翔琉の瞳が揺れる
 「その言葉、忘れないから」
 翔琉は私の首に顔を埋ずめた。
 肌にかかる翔琉の息がくすぐったい。

 「ちょっと翔琉、これはさすがにさ…………ぎゃっ!!」

 何か、柔らかなものが首にあたりちゅっと音がする。

 「まっ、え、え?」

 あ、あれ?
 翔琉が動かなかい…………
 耳元で小さな寝息が聞こえる。
 まさか…………寝たの!?嘘でしょ、この状態で?
 思わずため息がでた。
 なんか、いろいろおかしい気がするけど……
 舞白はゆっくりと体を動かして、翔琉を隣に寝かせた。
 ほんとに寝てる………、しんどいのに無茶して
 舞白は優しく彼の髪を撫でた。



 額に滲む汗を拭き取って、冷却シートを貼る。
 こんなもんかな、看病なんてしたことないからわからないけど…………
 一段落終えて大きく背伸びをした。
 なんか今日は疲れたあー!
 私は大きな欠伸をする。
 すやすやと気持ちよく眠る彼を横目に私も眠りについていた。
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