僕の秘書に、極上の愛を捧げます
俺はキッチンにあるコーヒーマシンでカフェオレをふたつ淹れ、寝室に戻り彼女に手渡す。

「どうぞ。熱いから気をつけて」

「ありがとうございます。恭介さんにコーヒーを淹れてもらうなんて、なんだか恐縮です」

「オフィスでも、翔子が飲みたいって言えばいつでも淹れるさ」

ふふ、と笑う彼女を見ながら、どう伝えようかと思考を巡らせつつ俺は話し始めた。

俺のステイタス目的で近寄ってくる女性相手に本気になることはなく、その場限りの関係ばかり繰り返していた、と。

日本に帰ることが決まった時、女性とそういう付き合いしかしてこなかった自分に対しても、気持ちを入れ替え仕事に専念すると決めていた。

それなのに、誠実に俺をサポートしてくれる彼女の人柄にいつからか惹かれてしまい、気持ちが止められなくなったのだ。

「そんなところだよ。今はもう、翔子に好きでいてほしくて必死なんだ」

自分で口にして思った。
この恋は、本気だ。

俺だけを見てほしい。
誰にも渡したくない。
誰にも、触れさせたくない。

「いま話したことが全てだ。いいかげんだった自分を取り繕うつもりもないけど、信じてもらえると嬉しい」

「・・はい」

「じゃあ、今日これからどうしようか。一緒に出かけてもいいし、ここでのんびりしてもいいし。翔子は、どうしたい?」

そう尋ねると、彼女はマグカップをベッドサイドに置き、俯きながらそっと俺のシャツの裾をつかむ。

「え? あー・・もしかして、スイッチが入ったままになってる?」

「だって、恭介さんが・・」

「俺は大歓迎だよ。ただ、ベッドにばかりいたら翔子が呆れるかと思って我慢してただけだ・・」

差し込む朝日をカーテンで遮り、彼女と俺はもう一度お互いを確かめ合った。



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