【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第42話 嵐の訪れ
「シェリル様。こちらの肥料はどうされますか?」
「そうね。……それは今は使わないから、そこに置いて頂戴。また後でチェックするわね」
「かしこまりました」

 ギルバート様が領地の見回りに旅立たれた日。私はリスター家の庭の調整をしていた。私の魔力が土とリンクしているということやら、私が『豊穣の巫女』である可能性があるということから、ギルバート様は私が管理する庭の土地をつい先日増やしてくださった。だから、私は庭をきれいに保つことを楽しみながら学んでいる。庭師の人たちとも仲良くやれていると思うし、比較的平和に過ごせているのではないかな。

「シェリル様は。土に好かれておりますね。いや~、羨ましい限りですよ」
「……そう、かしら?」
「えぇ、まぁ魔力がリンクしているということは、それだけ大変なことも多いのでしょうが」

 年配の庭師がそう言いながら、私に新しい作業を教えてくれる。元々私はガーデニングぐらいしかしたことがない。それも、このリスター家にやってきてから始めた趣味。経験も知識も浅い。特に、庭の管理とガーデニングは全くの別物に近く、私は庭師の人たちに教えを乞うていた。そうすれば、彼らは喜んで私に知識を教えてくれる。……どうやら、娘のように思われているようだ。

「どうせですし、旦那様が帰っていらっしゃったら、驚くぐらい綺麗にしてやりましょうか」
「……そうね。賛成だわ」
「では、そうと決まったら道具をとってきますね」

 庭師が悪戯っ子のような笑みを浮かべてそういうので、私はそれに賛同した。ギルバート様を驚かせるぐらい、綺麗にするのは楽しそうだもの。

 それから、庭の管理にはさまざまな道具を使う。もちろん、枝切りばさみなど危険なものには触らせてもらえない。庭師たち曰く「旦那様に触らせないように指示を受けている」ということらしい。……ギルバート様も、結構過保護よね。
< 136 / 157 >

この作品をシェア

pagetop