【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「では、食事をしながらで良いので、聞いてくれ。……とりあえず、俺はシェリル嬢の別の嫁ぎ先を探す。そのため嫁入り道具なども、俺が用意しよう」
「あ、あの、そこまでしていただくわけには……」
「いや、いい。俺は何度もこういうことはしてきたからな。それに、このリスター辺境伯爵家はそれぐらいで没落するような家では、ない。だから、素直に甘えてくれ」

 私の躊躇いを他所に、ギルバート様はそうおっしゃるとパンを口に運ばれた。……一口が、大きい。そりゃあ、男性なのだから当然なのかもしれないけれど。それでも、びっくりとしてしまう。

「それから、俺のことは年の離れた兄だと思ってくれればいい。俺はシェリル嬢と夫婦になるつもりはないし、それ以上に妻として見ることができない。……分かるな?」
「……はい」
「ならばいい。これからしばらく、同居生活になるが……出来れば、俺に関わってくれるな。俺は、女が大層嫌いだ」
「……承知、いたしました」

 クレアとマリンの話の通り、やはりギルバート様は女性がお嫌いなのね。もしかしたら、何かトラウマでもあるのかしら……?

(ううん、それ以前に私がそこまで深入りすることは出来ないわね)

 しかし、私は心の中でそうぼやいて、食事を続けた。今回、胃は大丈夫そうで。二度もあんな目には遭いたくないわよね。そう思いながら、私は出された食事をしっかりと食べることが出来た。……その味は、とても美味で。私は、久々に食事に感動することが出来たのだった。
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