【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第11話 双子侍女のお屋敷案内
「シェリル様。本日は、どうなさいますか?」
「予定がないのでしたら、お屋敷案内などいかがでしょうか?」

 それから約一時間後。朝食を済ませ、与えられたお部屋に戻ってきた私は、見事に何もすることがなかった。元より、趣味などないに等しいのだ。刺繍もあまり得意ではないし、読書もあまりしたことがない。

 そんな私の様子を見たクレアとマリンは、突然そんな提案をしてくれた。二人に「……良いの?」と私が問いかければ、二人は満面の笑みで「はい!」と返事をくれる。そのため、私は二人の提案に乗ることにした。……何もすることがないよりは、良いのだ。

「案内できる場所も限られていますが、シェリル様が使用することになるスペースをメインに案内させていただきますね!」
「……シェリル様は、趣味などありますでしょうか?」

 私がこのリスター辺境伯爵家の屋敷を案内してもらおうと立ち上がった時、マリンがそう問いかけてくる。……趣味。先ほど言った通り、私に趣味などない。というか、趣味をする余裕などもなかった。

「いえ、趣味はないわ。刺繍とか読書も、あまり得意ではないの」

 貴族の令嬢の主な趣味と言えば、刺繍と読書だろうか。でも、私はその二つがあまり好きではない。だから、そう答えればクレアはしばし考えたのち「……では、ガーデニングはどうでしょうか?」と楽しそうに言う。……ガーデニングとは、あのお花とかを育てる奴だろうか?

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