【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第15話 不器用なお誘い
「ここはしっかりとシェリル様に頼りになるところを見せて、彼女の心を射止めなくてはなりません」
「……射止めたところで、何になる」
「素敵な奥様が出来、私たちも安心できます」

 ……そう言うお話は、私がいない場所でしていただければ。そう思いながら、私はギルバート様とサイラスさんを見つめる。途中、サイラスさんとばっちりと視線があったものの、サイラスさんは「お任せください」とばかりに笑みを浮かべた。……いや、正直な気持ち任せたくない。逆に、怖いから。

「だからなぁ! 俺はおっさん予備軍だと言っているだろう!?」

 そして、遂にギルバート様がおキレになった。その場で立ち上がり、サイラスさんを睨む。だが、私がいることに気が付かれたからか、ギルバート様は露骨に気まずそうな表情になられた。……おっさん、予備軍。いや、ギルバート様はまだまだお若いと思うけれど……?

「あの、お言葉ですがギルバート様は、まだまだお若いではありませんか。三十三など、おっさんではありませんよ。もちろん、予備軍でもありません」
「……シェリル嬢?」
「あ、出過ぎた真似をしましたね。すみません」

 私はギルバート様に見つめられたので、そう言って謝った。まず、口を挟むつもりは一切なかった。しかし、自虐ネタは聞いていて気持ちの良いものではない。それに、私は本当にギルバート様をおっさん予備軍などとは思っていない。ただ、年の離れた兄感覚なのだ。

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