【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「ほら、シェリル様もそうおっしゃっているのですから! 確かに、子供の頃の年の差は大きいかもしれません。ですが、今となっては些細なこと。十五歳差など、政略結婚ではよくあることですよ」
「……だからなぁ」
「シェリル様も、そう思われますよね?」
「……まぁ、そうですね」

 確かに、政略結婚では十五歳の年齢差など時折あることだ。最悪、親よりも年上に嫁がされる話も聞くし……。そう考えたら、私とギルバート様の年齢差ってそこまで離れていないということなのかしら?

「そう言うことですよ。ほら、男らしくシェリル様をお誘いしてください!」
「……」

 サイラスさんの言葉に、ギルバート様は黙り込まれる。ふと扉の方を見つめれば、そこではクレアとマリンがこっそりと扉を開いて、執務室の中を覗いていた。二人は、私と視線が合うと「頑張ってください!」と手を振ってくる。……いや、だから何を頑張るの?

「……シェリル嬢。使用人たちが悪いな。シェリル嬢も迷惑だろう。このことは、気にしなくてもいい」
「……はぁ」

 ギルバート様はそうおっしゃって私のことを見つめられると、お仕事に戻られようとする。サイラスさんに肩を掴まれていたものの、ギルバート様はその手を振り払って仕事の机の前に戻られるだけだ。……サイラスさんが、私に縋るような視線を向けてくるので、私は一肌脱ぐことにした。

< 47 / 157 >

この作品をシェア

pagetop