【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第17話 ギルバートとシェリルのデート(?)(2)
 リスター家からフィヘーの街までは馬車で一時間程度かかるらしい。その間、私はじっと馬車に揺られ続ける。時折馬車の窓から外を見つめれば、そこには綺麗な青空が広がっていた。……空って、こんなにも綺麗だっけ? やっぱり、王都と辺境の地は違うのね。

(リスター家から見るものとも、やっぱり違うわ)

 窓の外を見つめながら、私はそんなことを考える。ふと隣に視線を移せば、ギルバート様が腕を組んで何やら考えこまれているよう。……今は、話しかけない方がいいわよね。うん。そう思って、私は窓の外を見つめ続ける。

「シェリル嬢」

 そんなことを私が考えていると、不意にギルバート様が私に声をかけてこられた。そのため、私がギルバート様の方を見つめれば、ギルバート様は私の顔をじぃっと見つめられていた。……あまり、見つめないでほしいのだけれど。そう思いながら私が視線を逸らせば、ギルバート様は「街の視察を終えたら、農地の方に行こうと思う」と私に告げてこられる。

「農地、ですか?」
「あぁ、そうだ」

 ギルバート様のお言葉を茫然と繰り返せば、ギルバート様は「不作だからな。今後の支援の方針を決めるためだ」と私に教えてくださった。……ふむ、やっぱり現場を見て決めるのが一番よね。そう言うことならば、私が嫌がる理由もない。

「そうでございますか。では、私のことは気にせずに、どうぞ」
「……そう言ってくれると、助かる」

 どうやら、ギルバート様は私がどういう反応をされるかが気になっていたよう。まぁ、私としては伯爵領のために動かれるのが伯爵様の仕事だと思っている。だから、私が反対する理由はない。普通の令嬢は農地に行くことなど嫌がるかもしれないけれど、生憎私は普通じゃない。……令嬢らしい令嬢じゃ、ないから。

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