【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「ねぇ、私の体調は――」
「シェリル様!」

 私が、隣で涙ぐんでいるマリンに私が倒れた原因を問いかけようとすれば、お部屋の扉が慌ただしく開きサイラスさんが飛び込んできた。その後、私の無事を見て「あぁ、良かった、良かった……!」と呟く。……本当に、サイラスさんって出逢った当初とは似ても似つかない態度になったわよね。初めは、敵意丸出しで刺々しかったのに。そう思いながら、私がサイラスさんの後ろに視線を移せば、そこでは微妙な表情をされたギルバート様がいらっしゃって。

「……ギルバート様」
「シェリル嬢、無事でよかった」

 私は今回、大きな迷惑をかけてしまった。なのに、ギルバート様はそれを責めるでもなく、ただ心の奥底から「安心した」と思っていらっしゃるような声音で、そう呟かれる。それに私が一安心していると、ギルバート様は一旦ため息をつかれ、クレアたちの方に視線を向ける。

「クレア、マリン。それからサイラス。出て行ってくれ」
「……旦那様。ですが……!」
「いや、変なことはしない。ただ、病状と原因の説明をするだけだ」

 意外過ぎるギルバート様の提案。そして、それを渋るマリン。

 ギルバート様の表情は、とても真剣なもので。声音もとても真剣なものだった。その声を聞いたからだろうか、はたまたその真剣な表情を見たからだろうか。マリンは渋々と言った風に「お部屋の外で、待機しております」と一礼をして言う。その後、サイラスさんとクレアを連れてお部屋の外に出て行く。

「さて、シェリル嬢。まずは何から話せばいいのか……」

 ギルバート様が、私が横になる寝台のすぐそばに椅子を持ってこられて、腕を組まれる。……もしかしてだけれど、私の病状ってかなりひどいの? 何か、重い病気なのだろうか? そう考えたら、ぞっとした。ようやく少しだけ幸せになれたと思ったのに、こんなのあんまりだ。
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