【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
(元々、私の魔力は膨大だった。それこそ、時々暴走してしまうぐらいには)

 幼少期。私の魔力は膨大すぎて、身体の中にある器に入りきらなかった。その所為で、魔力が暴走しアシュフィールド侯爵家の屋敷を壊してしまうことも多々あった。……それが、私が父たちに疎まれている本当の原因。今の今まで、醜い記憶として封印されていた、真実。

 だけど、いつぐらいからだろうか。私の魔力暴走はぴったりと収まった。私はそれを勝手に「身体が成長して器も大きくなったのだ」と捉えていたけれど、ギルバート様のお言葉を聞くに誰かが私の魔力を奪っていたのだろう。

「この記録によれば、かなり前からだな」
「で、ですが、その場合何故私は今の今まで無事でいられたのでしょうか……?」

 だけど、ギルバート様のお言葉には不可解な部分がある。ギルバート様のお言葉によれば、私の魔力はかなり前から奪われていた。けど、今の今まで倒れるところにまでは至らなかった。なのに、今になって突然倒れるなんて……意味が、分からないの。

「ここからは、私が説明しましょう。……シェリル様の魔力は、土と連動していると思われます」

 私がギルバート様に詰め寄ろうとすれば、サイラスさんがそれを手で制してそう言った。その目は、とても真剣なものであり、とても嘘を言っているようには見えない。でも、土と連動する魔力なんて、あるわけがないと思う。

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