四葉のクローバーを探して
 ぼんやりしたまま、ぼくはブランコに揺られている。
気付いたら舞が先に帰っていた。
 あらら、、、(置いて行かれちゃった。 いっつもこうなんだよなあ。) そう思いながら公園を出て歩き始める。
 やっと家に帰ってくると鍵を開けて中に入る。 母さんたちはまだまだ仕事中。
テーブルに置いてあるカップラーメンにお湯を注いでそれから3分。 待つんだぞ 待つんだぞ。
 蓋を開けるといい匂い。 ラーメンを啜りながら何気にテレビを見る。
そして食べ終わると部屋に飛び込んで布団に体を投げ出す。 頭の中を巡っているのはじいちゃんが言った一言。
 「お前たちには秘密が有るんだ。 いずれ分かるから俺からは言わないけどな。」 何のことだろう?

 秘密って何なんだろう? 気にはなるけどじいちゃんも死んじゃったしなあ。
静かな静かな部屋の中、知らない間にぼくは寝てしまった。
 6時を過ぎてやっと母さんたちが帰ってきた。 「さあ、夕食ね。」
台所でバタバタ動き回っている母さんがテレビをチラ見している。 ぼくはやっと目を覚ましたばかり。
 「今日も舞ちゃんと遊んだんでしょう?」 「うん。 公園に行ってたよ。」
「あんたたち、本当に仲良しねえ。」 「そうなの?」
「あらあら、いっつもくっ付いてるから分からないのね?」 母さんは笑っている。
 そこへ父さんも帰ってきた。 「いやあ疲れた。 早く寝たい。」
「って言ってもまだ夕食を、、、。」 「そうだけどさあ、今夜は何だい?」
「煮魚とほうれん草のお浸しよ。」 「そうか。 早く食べたい。」
 父さんは自分へのご褒美にって毎晩ビールを飲んでいる。 そしてやっとご飯を食べるんだ。
ぼくは起きたばかりの顔で箸を握っている。 「あんたもよく寝てたのね?」
「うん。 夜まで何にも無かったからさあ。」 「これから忙しくなるんだな。」
「たぶんね。」 母さんがやっとご飯を盛ってくれた。
 「いっただっきまーす。」 「元気だけはいいなあ。 お前。」
「だってまだ子供だから。」 「ブ、、、。 そう来たか。」
 母さんは煮物を食べながら誰かと電話で話してる。 仕事のことらしいね。
じゃあ聞いてても分からないや。

 夕食を済ませた父さんは慌ただしく風呂に入っていった。 「あんまり長いと寝ちまうからなあ、、、。」
そう言いながら欠伸をしている。 「お仕事ご苦労様です。」
母さんはそう言ってタオルを渡した。

 次の日は土曜日。 休みだから朝食を食べた後は部屋でゴロゴロしてます。
「舞もたぶんこうしてるんだろうなあ。」 そんなことを考えながら、、、。
 通りを走る車も無く、歩いていく人も居ません。 静かな静かな朝。
昭和の頃はこの辺りもまだまだ賑やかだったんだって。 ばあちゃんがそう教えてくれた。
「見たかったなあ。」 「見てどうするのさ?」
「どうもしないよ。」 「ふーん。」


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