暴君御曹司のお気に入り
入念なデートプラン_湊side
《湊side》

こんなに大きな怪我をしたのは初めてだ。

普段はボディーガードが俺のことを守っているから、自分の血を見るのも数年ぶりくらいだ。

どうしてあんな女を助けてしまったのかわからないが(きっと俺の天性の優しさだろう)、結果的にはまあまあ感謝されたから良しとしよう。

頬の擦り傷がなかなかに痛いが、俺はそれなりに満足していた。

「如月 紬」と書かれた連絡先をリムジンの中で眺めながらほくそ笑む。

今日の1件であいつは既に俺に惹かれつつあるはずだ。

完璧なデートの計画を立てて今度こそあいつを惚れさせてやる。

「竹岩!ハーゲン〇ッツの会社を買収するぞ!!」

助手席に座っている竹岩に向かって叫ぶ。

「何するつもりですか?」

呆れたような顔で竹岩が振り返る。

「あいつはハーゲン〇ッツが好きらしいから、今度のデートで工場見学させてやろうと思ったんだ!そのための買収だよ!ふっ、、ここまでされたらあの女も俺にメロメロだな!!」

得意げにそう言った俺を、竹岩は信じられないものを見るような顔で凝視したあと、頭を抱える素振りをした。

「世の女性は工場見学なんて楽しめませんよ、、どこでお坊ちゃまの育て方を間違えてしまったのでしょう、、、」

そんな竹岩の態度に俺はムッとして言い返す。

「そんなこと言われたって、、、じゃあどこならいいんだよ」

「遊園地か水族館か、、、貸切にすれば大抵の女性は喜ぶと思いますが」

「ふーん、、」

遊園地か水族館、、、。
あの女のことだから遊園地になんて行かせたら絶叫マシンを乗り回すに違いない。
俺は酔いやすいからそれは勘弁してほしいところだ。

「よし!竹岩、野いちご水族館を貸し切るぞ!」

「かしこまりました。日時は如何なさいますか?」

「来週の日曜だ!あの女にもLI〇Eしておこう」

ハーゲン〇ッツのださいアイコンの女にLI〇Eを打つ。

[来週の日曜に水族館デートするぞ、13時に野いちご駅集合だ!]

送ってから、リムジンで迎えに行った方がいいかと思ったが、やはり待ち合わせの方がデートらしくて理想的だなと考え直した。

そうしてリムジンが家に着き、俺は入念なデートプランを考える事にした。
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