初恋の終焉〜悪女に仕立てられた残念令嬢は犬猿の仲の腹黒貴公子の執愛に堕ちる
「シュバイン公爵家は王家をつぶすつもりなのか?」
「…っ…おそれながら陛下! 潰すなんて、滅相もございません。シュバイン公爵家は王家に忠誠を誓っております。愚息のハインツも王太子様の側近としてかげながら尽くしているではありませんか! 当家は、けっして王家にさからうような真似は致しておりません」
「では、どうしてこのような書簡が私の手元にあるのだ?」
「………」
青くなり言葉を発することも出来ず震えているシュバイン公爵に、これ以上は無理だろう。
(私が出る他あるまいな)
「陛下、そろそろ目くじらを立てるのはおやめください。たかが、婚約成立の書簡ではございませんか。その書類に、何の効力も無いことくらい貴方様はご存じですよね。最近、ウィリアム王子殿下とエリザベスの婚約を勝手に破棄した王家なら知っていて当然です」
「しかし、あれは……いや……」
「陛下のおっしゃりたいこともわかります。ただ、ウィリアム王子殿下が勝手にやった事であっても、正式な書類の形式を取っていた以上、知らなかったとは言えませんよね」
「もうよい、ベイカー公爵よ。あの一件に関しては全面的に我に非がある。エリザベスには、辛い思いをさせた」
「陛下もご存じかと思いますが、エリザベスにとってウィリアム王子殿下は特別な存在だったのです。そんな人物から一方的に婚約破棄を言い渡された娘の精神状態は、荒れに荒れていました。下手をしたら、あのまま命を絶っていたかもしれない。あの娘には前科がありますから……」
ミリアの献身的な説得がなければ、エリザベスは今でも自室から出ることさえなかっただろう。それほどまでに、エリザベスのウィリアムへ対する傾倒は深かったのだ。
(自分の娘ながら、あの執着にはまいるな。恋は人を愚かにするか……)
「そんなエリザベスを救ったのがハインツ殿だったとか。シュバイン公爵家とベイカー公爵家は領地が隣あっておりますので、偶然にも静養していたエリザベスとハインツ殿がどこぞで出会ったのでしょう。恥ずかしながらわたくしも親バカでして、娘に泣きつかれましてね。今回の婚約を了承した次第でございます。婚姻の承認申請の書簡でもありませんし、破棄も可能な婚約に関する書簡です。目くじらを立てられる程のものではないかと」
「現段階では、婚姻は認めないがそれでもよいと?」
「まだまだ若いふたりのこと、この先どう転ぶかもわかりません。今が一番楽しい時期なのでしょう。婚約くらい認めないと、若さゆえ暴走するやもしれませんよ」
「わかった」
手をふり退室を促す陛下を見て礼をする。なんとか事を収めることに成功したようだ。
「あぁ、ベイカー公爵お主とは、まだ話がある。その場に待て」
背を向け安堵のため息をコソッとこぼしたベイカー公爵に陛下の言葉が刺さる。
(まだ、逃してはくれないか。先にシュバイン公爵のみ退室させたところを見ると内々の話をするつもりなのだろう。何を言われることやら)
シュバイン公爵が退室するのに続き、護衛の者まで退室していくのを見送り、ベイカー公爵は振り返る。
「…っ…おそれながら陛下! 潰すなんて、滅相もございません。シュバイン公爵家は王家に忠誠を誓っております。愚息のハインツも王太子様の側近としてかげながら尽くしているではありませんか! 当家は、けっして王家にさからうような真似は致しておりません」
「では、どうしてこのような書簡が私の手元にあるのだ?」
「………」
青くなり言葉を発することも出来ず震えているシュバイン公爵に、これ以上は無理だろう。
(私が出る他あるまいな)
「陛下、そろそろ目くじらを立てるのはおやめください。たかが、婚約成立の書簡ではございませんか。その書類に、何の効力も無いことくらい貴方様はご存じですよね。最近、ウィリアム王子殿下とエリザベスの婚約を勝手に破棄した王家なら知っていて当然です」
「しかし、あれは……いや……」
「陛下のおっしゃりたいこともわかります。ただ、ウィリアム王子殿下が勝手にやった事であっても、正式な書類の形式を取っていた以上、知らなかったとは言えませんよね」
「もうよい、ベイカー公爵よ。あの一件に関しては全面的に我に非がある。エリザベスには、辛い思いをさせた」
「陛下もご存じかと思いますが、エリザベスにとってウィリアム王子殿下は特別な存在だったのです。そんな人物から一方的に婚約破棄を言い渡された娘の精神状態は、荒れに荒れていました。下手をしたら、あのまま命を絶っていたかもしれない。あの娘には前科がありますから……」
ミリアの献身的な説得がなければ、エリザベスは今でも自室から出ることさえなかっただろう。それほどまでに、エリザベスのウィリアムへ対する傾倒は深かったのだ。
(自分の娘ながら、あの執着にはまいるな。恋は人を愚かにするか……)
「そんなエリザベスを救ったのがハインツ殿だったとか。シュバイン公爵家とベイカー公爵家は領地が隣あっておりますので、偶然にも静養していたエリザベスとハインツ殿がどこぞで出会ったのでしょう。恥ずかしながらわたくしも親バカでして、娘に泣きつかれましてね。今回の婚約を了承した次第でございます。婚姻の承認申請の書簡でもありませんし、破棄も可能な婚約に関する書簡です。目くじらを立てられる程のものではないかと」
「現段階では、婚姻は認めないがそれでもよいと?」
「まだまだ若いふたりのこと、この先どう転ぶかもわかりません。今が一番楽しい時期なのでしょう。婚約くらい認めないと、若さゆえ暴走するやもしれませんよ」
「わかった」
手をふり退室を促す陛下を見て礼をする。なんとか事を収めることに成功したようだ。
「あぁ、ベイカー公爵お主とは、まだ話がある。その場に待て」
背を向け安堵のため息をコソッとこぼしたベイカー公爵に陛下の言葉が刺さる。
(まだ、逃してはくれないか。先にシュバイン公爵のみ退室させたところを見ると内々の話をするつもりなのだろう。何を言われることやら)
シュバイン公爵が退室するのに続き、護衛の者まで退室していくのを見送り、ベイカー公爵は振り返る。